イケムラレイコ 土と星 Our Planet

《うねりの春》

イケムラレイコ 《うねりの春》 2018年 顔料/ジュート 190x290cm 作家蔵

①	《頭から生えた木》

イケムラレイコ 《頭から生えた木》 2015年 テラコッタ、釉薬 30x37x24cm 個人蔵、ドイツ
Courtesy Galerie Karsten Greve AG, St. Moritz

《始原》

イケムラレイコ 《始原》 2015年 テンペラ/ジュート 190x290cm 作家蔵
Courtesy of the artist and Galerie Karsten Greve, St. Moritz, Paris, Cologne

《ベルリン地平線I》

イケムラレイコ 《ベルリン地平線 I》 2012年 テンペラ、油彩/ジュート 110x180cm 作家蔵
Courtesy of the artist and ShogoArts, Tokyo

《ハルコ I》

イケムラレイコ 《ハルコ I》 2017年 テンペラ/ジュート 120x120cm 個人蔵、アメリカ
Courtesy of Jim Murren, Chairman of MGM Resorts

《母の情景》

イケムラレイコ 《母の情景》 2011/15年 油彩/ジュート 90x180cm 作家蔵
Courtesy of the artist and Galerie Mikael Andersen

《オーシャンIII》

イケムラレイコ 《オーシャン III》 2000/01年 油彩/ジュート 120x160cm ヒルティ美術財団

《花嫁》

イケムラレイコ 《花嫁》 1990年 テラコッタ、釉薬 97.5x45x31cm 作家蔵

《母とミコ》

イケムラレイコ 《母とミコ》 1995年 テラコッタ、釉薬 91x55x55cm 個人蔵、ドイツ

《花》

イケムラレイコ 《花》 2009/18年 65x43.2cm ラムダプリント 作家蔵
Courtesy of the artist and ShugoArts, Tokyo

展覧会概要

長くヨーロッパを拠点に活動し、国際的にも高い評価を得ているイケムラレイコの大規模な個展を開催いたします。

イケムラレイコは、1970年代にスペインに渡り、その後スイスを経て、1980年代前半からはドイツを拠点に活躍してきました。絵画、彫刻、ドローイング、水彩、版画、写真など、イケムラが手掛けるメディアは多岐にわたります。それはイケムラが、何かが生まれる途上に潜在している、いまだはっきりとは見えない無限の可能性を表現するという独創的な芸術的課題に、多様なメディアをもって挑んできたことの証でもあるでしょう。本展覧会では、そのような不可能にも思える目標に真摯に取り組んできたイケムラの創造の軌跡を、約210点の作品とともにご紹介します。

スイスで本格的に画家としての活動を開始したイケムラは、1983年にドイツに移りました。当時の絵画を席巻していたのは、力強い色とかたちで、人間の生の感情を表出する新表現主義と呼ばれる動向でした。イケムラもまた、女性であること、そして異邦人であることの困難に抵抗するかのような荒々しい絵画や、多様な線で構成されたユーモラスで人間味あふれるドローイングなど、実験的な試みに没頭しました。そうした制作を経て、1990年代以降に現われてきたのは、名もない小さな動物や無垢な少女たち、母と子、木々や山と一体化した人物、誕生と死を含みこむ神話的な原始の風景などでした。

人や自然をコントロールし、体系化することによって成り立つ今日の社会は、自然災害だけでなく、原発の事故など、人が作りだしたさまざまなひずみによって揺さぶられています。うつろな空間に漂うはかなげな少女や、現代美術で正面から取り上げられにくかった母と子の像、そして、幻想的な、自然と一体化した小さな生きものたちのすがたには、この世に生まれでた、あるいは、これから生まれいづるものたちの存在の多様性を、あるがままに受け入れようとする強靭な思想が感じられます。寡黙でささやかな、自らのうちに深く沈みこんでいく内省的な作品世界は、まさにこの点において、きわめて今日的な批評性に満ちています。それは、日本とヨーロッパという異なった土壌で鋭敏な感覚を磨いてきたイケムラだからこそ見出しえた、啓示に満ちた景色でもあるでしょう。

2011年に東京国立近代美術館と三重県立美術館で開催された「イケムラレイコうつりゆくもの」展以降、イケムラは、社会に向き合う態度をより意識するようになったといいます。本展覧会は、独創的な創造活動により、破綻しかけた社会の構造にまで切り込もうとするイケムラの芸術をたどりなおし、多面的に追体験できるように、16のインスタレーションの集合として構成されています。展覧会のクライマックスには、近年の総合的な世界観を、神話的な空間に表出した大型の風景画の部屋が現われます。展覧会を通じて、そうした景色の向こうに広がる世界を、多くの来場者とともに考えることができれば幸いです。

会 期 2019年1月18日(金)~4月1日(月)
毎週火曜日休館
開館時間 10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
会 場 国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
主 催 国立新美術館、バーゼル美術館
後 援 スイス大使館

観覧料(税込)
当日 1,000円(一般)、500円(大学生)
前売/団体 800円(一般)、300円(大学生)
  • 2月24日(日)は天皇陛下御在位30年を記念して、入場無料。
  • 高校生、18歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)および障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
  • 前売券は2018年11月14日(水)~2019年1月17日(木)までの販売。
  • チケット取扱い:国立新美術館(開館日のみ)、オンラインチケット(イーティックス)、ローソンチケット(Lコード:34610) ※手数料がかかる場合があります。
  • 団体券は国立新美術館でのみ販売(団体料金の適用は20名以上)。
  • 会期中に当館で開催中の他の企画展および公募展のチケット、またはサントリー美術館および森美術館(あとろ割対象)で開催中の展覧会チケット(半券可)を提示された方は、団体料金が適用されます。
  • 「アートフェア東京2019」(会場:東京国際フォーラム 会期:2019年3月7日~3月10日)の1DAYパスポート(半券可)、または入場レシートを提示された方は、2019年3月1日(金)~3月31日(日)に限り、本展の当日一般券を200円割引でご購入いただけます。
  • 65歳以上の方(年齢のわかるものが必要)は、会期中に当館で開催中の公募展チケット(半券可)の提示で大学生団体料金が適用されます。
  • 国立美術館キャンパスメンバーズ加盟の大学等の学生・教職員は本展覧会を団体料金でご覧いただけます。
  • その他の割引などお得な情報はこちらをご覧ください。
  • 会場での観覧券購入に次のクレジットカードと電子マネー等がご利用いただけます。
    クレジットカード:UC、MasterCard、VISA、JCB、AMEX、Diners Club、DISCOVER
    電子マネー:Suica(スイカ)、PASMO(パスモ)、ICOCA(イコカ)等、iD その他:J-Debit、銀聯
お問合せ 03-5777-8600(ハローダイヤル)

展覧会の見どころ

1. これまでで最大規模の個展

2000平米の展示室と野外展示場も使い、約210点をご紹介します。展示される作品は、絵画、彫刻、ドローイング、水彩、版画、写真、映像、と、イケムラが手掛けてきたすべてのメディアを網羅します。また、文学にも豊かな資質を発揮しているイケムラの詩も、会場内にちりばめられる予定です。

2. 16のインスタレーション

展示会場は、イケムラが探求してきた16のテーマに基づく、16のインスタレーションで構成されています。観客には、これらのインスタレーションをめぐり歩く道しるべとなる地図を配布する予定です。展示構成を手掛けたのは、これまでにイケムラと何度もコラボレーションしている建築家のフィリップ・フォン・マットです。

3. 初期のドローイングと絵画

1973年からスペインのセビリア大学美術学部で学んだイケムラは、1979 年にスイスに移り、現代美術家としての活動を本格的に開始しました。本展覧会には、作家にゆかりの地であるスイスから、初期のドローイング約40点や表現主義風の大型の絵画がやってきます。これらの作品群には、近作にいたるまでの変わらぬイケムラの関心を垣間見ることができます。

4. 近年の新たな試み

イケムラの絵画は、近年、ふたたび大型化しています。山水画を思わせる幽玄の景色には、人や動物のすがたが溶け込んでいます。最新作《うねりの春》は、生命の高揚を感じさせる春のモティーフにふさわしく、明るく暖かい色彩をベースにしています。大きな空間いっぱいに広がる風景画と、身も心も一体化する体験をお楽しみください。

5. イメージの連鎖

イケムラの作品では、人や動物、木々や山がかたちを変え、あるイメージからまた別のイメージへとつぎつぎに変化していきます。イメージは、見る人の記憶や精神状態に呼応して、見え方を変える柔軟性をそなえています。本展覧会では、イケムラのヴィジョンを追体験するだけでなく、自分だけのイメージを紡ぎだすこともできるでしょう。

展覧会の構成

本展覧会は、ひとつひとつが独立したインスタレーションでもある16のセクションで構成されます。

1. プロローグ|Prologue

《生命の循環》
《生命の循環》 1977年 エッチング/紙 29×26.5cm 作家蔵

2. 原風景|Origin

《マロヤ湖のスキーヤー》
《マロヤ湖のスキーヤー》 1990年 テンペラ/カンヴァス 120×94cm 豊田市美術館

3. 有機と無機|Organic and Inorganic

《母とミコ》
《母とミコ》 1995年 テラコッタ、釉薬 91×55×55cm 個人蔵、ドイツ
《花嫁》
《花嫁》 1990 年 テラコッタ、釉薬 97.5×45×31cm 作家蔵

4. ドローイングの世界|Realm of Drawings

《受胎告知》
《受胎告知》の習作 1985年 木炭/紙 42×29.8cm バーゼル美術館
Kunstmuseum Basel- gift of Dieter Koepplin, Basel
《無題》
《無題》 1985 年 木炭/紙 20.9×29.7cm バーゼル美術館
Kunstmuseum Basel- anonymous gift

5. 少女|Girls

《黄色の中でミコを抱いて》
《黄色の中でミコを抱いて》 1995/96 年 油彩/カンヴァス 83.2×62.5cm 作家蔵

6. アマゾン|Amazon

《アマゾン》
《アマゾン》 2015/18 年 インクジェットプリント 作家蔵

7. 戦い|War

《カミカゼ》
《カミカゼ》 1980年 アクリル/紙 120×90cm
クリストフ・シェンカー・コレクション

8. うさぎ観音|Usagi Kannon / 10. 庭|Garden

《うさぎ観音》
《うさぎ観音》(2014年、ブロンズ・パティナ)展示風景 「St-Moritz Art Masters」展
(サン・モリッツ・アートマスターズ財団主催、2014 年)より

9. 山|Mountains

《フジフェイス》
《フジフェイス》 2013年 テラコッタ、釉薬 42×87×70cm 作家蔵
Courtesy of the artist and Kenji Taki Gallery, Nagoya

11. 木|Trees

《赤い木》
《赤い木》 2013年 テンペラ/ジュート 70.5×50.5cm 作家蔵

12. 炎|Flame

《ハルコ I》
《ハルコ I》 2017年 テンペラ/ジュート 120×120cm 個人蔵、アメリカ
Courtesy of Jim Murren, Chairman of MGM Resorts

13. 地平線|Horizon

《オーシャン l》
《オーシャン l》 2000/01年 油彩/ジュート 120×160cm ヒルティ美術財団
《オーシャンll》
《オーシャン ll》 2000/01年 油彩/ジュート 130×160cm ヒルティ美術財団
《オーシャンlll》
《オーシャン lll》 2000/01年 油彩/ジュート 120×160cm ヒルティ美術財団

14. メメント・モリ|Memento Mori

《メメント・モリIII》
《メメント・モリ III》 2012 年 テラコッタ、釉薬 15×45.3×19.5cm 作家蔵
Courtesy of the artist and ShugoArts, Tokyo

15. コスミック・ランドスケープ|Cosmic Landscape

《始原》
《始原》 2015 年 テンペラ/ジュート 190×290cm 作家蔵
Courtesy of the artist and Galerie Karsten Greve, St. Moritz, Paris, Cologne
《うねりの春》
《うねりの春》 2018年 顔料/ジュート 190×290cm 作家蔵

16. エピローグ|Epilogue

《頭から生えた木》
《頭から生えた木》 2015 年 テラコッタ、釉薬 30×37×24cm 個人蔵、ドイツ
Courtesy Galerie Karsten Greve AG, St. Moritz

関連イベント

レクチャー「イケムラレイコの素描について」

講師 アニータ・ハルデマン(バーゼル美術館版画素描室ヘッド・キュレーター)
日時 2019年1月18日(金) 13:30-15:00 (13:00開場)
会場 国立新美術館3階 研修室AB
※逐次通訳

*定員70名(先着順)
*聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。

スペシャルトーク

講師 イケムラレイコ × ヨーゼフ・ヘルフェンシュタイン(バーゼル美術館館長)
日時 2019年1月18日(金) 16:00-17:30
会場 国立新美術館1階 展示室1E
※逐次通訳

*定員100名(先着順)
*聴講は無料ですが、展示室の入場には本展の観覧券が必要です。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。

巡回情報

本展覧会は、スイスのバーゼル美術館と共同で企画するものです。東京展を再構成した巡回展が、2019年春から夏にかけてバーゼル美術館で開催される予定です。